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ホーム > ネコで特に注意すべき病気・事故


はじめに

病気や事故で動物病院に来るネコは外に出ることがあるネコが多いことを、ネコを飼われる飼い主さんには知っておいて頂きたいです。子ネコの頃から外に出ていた場合は、大人になってから部屋の中だけで飼うことは難しいのですから、避妊・去勢手術を適当な時期に受けさせ、子ネコの頃からまずは外に出さないこと、これだけで、事故、病気の予防になります。病気や事故で動物病院に行く頻度はかなり減ります。    高齢猫の高血圧

嘔吐

ネコでは月に1回程度の嘔吐は経験的に特に問題ないことが多いです。ただし、それ以上の頻度で嘔吐をする場合は何か問題があることがあり得ます。
ネコでは草を食べてそれを吐き出すことは正常なことです。また、ネコは胃内にたまった体毛を時折もどすことは自然なことです。
特に何回も嘔吐する場合は重大な病気にかかっていることもあるため、早めに動物病院に連れて行かれることをお勧めいたします。また、中毒のことも考慮し、詳しくは中毒のページを参照にして毒物との接触がないように気をつける必要があります。

肥満

肥満が原因でなりやすくなる病気にとしては、糖尿病、心臓病、脂肪肝などがあります。糖尿病、心臓病はいうまでもなく大変な病気ですが、脂肪肝も食欲がなくなり問題になることがあるため、侮れない病気だといえます。減量する場合は動物病院で相談されることをお勧め致します。無理な減量は病気の引き金になることがあります。

雄ネコの尿閉

尿閉とはおしっこが出なくなることです。尿閉になると急性腎不全さらに心不全と命にかかわるため、できるだけ早く動物病院に連れて行くことが大切です。尿閉となってから動物病院に連れていくまでに時間がかかってしまうと、その時は助かったとしても、腎不全は治らないことになるかもしれません。
雌のネコでは膀胱炎で尿閉になることは無いと思いますが、雄ネコの場合尿閉になる可能性を常に考えておく必要があります。理由はオスの尿道(膀胱からペニスまでの尿の通り道)が細いからです。尿石症は当然のことながら、単なる膀胱炎でも尿道がつまりおしっこが出なくなることがあります。膀胱炎から尿閉となるまでに、あまり時間がかからないこともあるようですから、一番大切なことは、毎日ちゃんと尿が出ているかを確認することです。したがって、飼っているネコが2頭以上の場合、トイレで、どのネコの尿か区別がつかないため、尿閉で元気がなくなるまで気付かないことがあります。もうひとつは、トイレを外で済ませているネコも飼い主さんが異常に気付くのが遅れ重症となることがあります。従って2頭以上飼っている飼い主さんは特に気をつけておく必要があります。雄の場合、少しでも頻尿(何回もトイレに行くこと)があるとか、血液が混入し、尿の色がおかしいことがあれば、できるだけ早く動物病院に連れて行くことをお勧めいたします。治療が早ければ投薬により尿閉を未然に防げる可能性があるからです。
食べているフードが原因で膀胱に石ができやすく、尿石症から膀胱炎になっていることもあります。動物病院には尿石症ができにくいフードが必ず用意してあるものです。

首輪の事故

ネコは外ではもちろんのこと、家の中でも色んなところを歩きまわったり、高いところに上ったりします。信じられないかもしれないですが、ネコの首輪の間に壁などから出ている突起物が入ったり、外では木の枝などが首輪の間に入ってネコが暴れて宙吊りになるかもしれないのです。このとき生死を分けるのは首輪が強く引っ張ると外れるタイプか、そうでない従来のものかです。ですから、首輪はネコの体重がかかると外れるタイプを選びましょう。

風呂場の事故

ネコはぬるま湯が好きです。湯船のぬるま湯を飲もうとするようです。このとき、お風呂場の湯船に落ちてしまうと溺れてしまいます。湯船のお湯は抜いておくか、ネコがお風呂場に入れないようにする必要があります。

マイコプラズマ・ヘモフィリス(ヘモバルトネラ・フェリス)

特に外に出ているネコはノミをもらってくることがあります。ノミの感染により、皮膚病となったり、ノミが持っている寄生虫をもらって便から米粒大の寄生虫が出てくることもあります。さらに、ノミが媒介となりマイコプラズマ・ヘモフィリス(以前はヘモバルトネラと呼ばれていた)という微生物に感染することがあります。これは治療をしなければ命にかかわる病気です。したがって、ノミの感染を防ぐことで、この病気を予防できます。動物病院には効果的なノミの予防薬があります。

高齢猫の高血圧

10歳以上の高齢の猫では高血圧になっていることがあります。当院で血圧の測定は可能ですので、一度測定されることをお勧めいたします。甲状腺機能亢進症などの高血圧の原因となる病気があった場合、その病気の治療が必要です。高血圧をそのままにしておくと、腎不全や失明をするケースもあります。当院で治療したケースでは、幸い失明してからすぐに連れてこられたため、お薬の処方でまた眼が見えるようになりました。ただし、腎臓の機能はもとに戻すことはできません。慢性腎不全専用のフードや尿毒症を改善するお薬で普通の生活ができることはあります。

早期発見できればお薬により腎不全を免れる可能性があります。

 

歯の健康

若いネコでは歯石が問題になることはほとんどないですが、中高齢になってくると歯石の影響で歯肉炎、歯周炎となり、口臭がでてきます。歯周炎が起きると細菌が血流にのって心臓、その他の臓器に達し、心臓では細菌性の心内膜炎を起こす可能性も指摘されています。歯石のつき方には個体差がありますが、歯石がつきやすいネコは、経験的には缶詰や、人の食事のおかずを与えられているようです。ネコが人のおかずを食べると歯石がつきやすいと思われます。特に、ネコエイズに感染している場合は歯肉炎、口内炎がひどくなる傾向があります。歯石が著しく、歯肉炎や歯周炎がひどく、さらには、ものを食べている時の激しい痛みがある場合は虫歯のことがあります。このように、生活の質に影響がでてくると、ネコの場合全身麻酔で歯科処置をすることになります。虫歯の場合は抜歯をすることになります。どんなに安全な麻酔を使っても、リスクはゼロではないわけですから、できるならば麻酔を伴う歯科処置を生きている間何度も実施することは避けたいため、予防することが重要となってきます。
歯と歯茎の病気の予防には、人と同じようにネコにも歯磨きをすることが効果的です。毎日1回の歯磨きで、効果的に歯肉炎が予防できることがわかっています。また、毎日実施する歯磨きほどの効果はありませんが、歯石がつきにくい専用のフードを食後に食べさせることで、ある程度の予防は期待できます。
ネコ用の歯ブラシも販売されてはいますが、小児用のヘッドの小さく、ややソフトな歯ブラシでもネコに歯磨きをすることができます。もちろんネコの口をゆすぐことができないので、人の歯磨き粉はつけません。ネコ用の歯磨き用ペーストを使うとゆすぐ必要もなく、また、ネコの好みの味がするため実施しやすいと思われます。ネコ用の歯磨き用ペーストがない場合、はじめはネコに慣れてもらうため、肉汁などを歯ブラシにつけてもよいでしょう。
歯磨きの方法は人と同じように歯茎と歯の境界に歯石がつきやすいため、ここを中心に45度の角度で,できれば水よりはぬるま湯で濡らした歯ブラシを当て、特にはじめのうちはやさしく、そして小刻みに横に動かして歯を磨きます。ただし、歯石は歯の内側(舌側)より外側(頬側)により多くつきますし、内側(舌側)は嫌がるため実質的に歯磨きをすることはできないので、歯磨きは外側(頬側)のみを実施します。ネコの性格によっては実施できないことになりますが、歯ブラシを嫌がる場合、初めは指にガーゼを巻いて濡らしたもので歯を磨くことならできることもあります。子ネコの時から歯ブラシに慣らしておくのが理想的ですが、成長したネコでも最初はやさしく、歯ブラシを慣らすことからはじめて、工夫して根気よく習慣になるように実施します。

避妊手術で予防できるネコの病気

子宮蓄膿症
避妊手術をすると卵巣と子宮を摘出するわけですから妊娠できなくなります。したがって、避妊手術を受けたネコでは卵巣と子宮の病気から無縁になります。避妊手術を受けていないネコの子宮の病気としては、子宮蓄膿症があります。これは子宮に膿が溜まる病気で、治療をしなければ命にかかわります。子どもを生ませたいと考えている飼い主さんは避妊手術ができないわけですが、そうでない飼い主さんは早く、若いうちに避妊手術を受けさせることをお勧めいたします。特に、外に出ているネコの場合は避妊手術をしていないと、どんどん子ネコが増えてしまうし、飼えないからといって捨てたりすると犯罪となります。さらに、交尾により病気をもらったり、また、発情の間は夜もうるさく、実質的にメスのネコは避妊手術をしなければ飼えないと思います。もちろん、避妊手術をしていないネコが必ず子宮蓄膿症になるわけではないのですが、一般的には避妊手術をしたネコの方がしていないネコよりも長生きだといわれています。

乳腺癌
少なくとも1歳未満に避妊手術をすることで、乳腺癌になる確率を下げることができるという報告があります。避妊手術を考えている飼い主さんは、できるならば早めにしてあげる方が病気の予防にもなるため良いと思います。

参考文献

Henry CJ. “Mammary Cancer” KIRK’S CURRENT VETERINARY THERAPY XIV. 14th ed. Eds. Bonagura JD and Twedt DC. St. Louis: Elsevier-Saunders, 2009.

Shell LG, and Gunn R. “Hemobartonellosis”. Associate. May 2005. Veterinary Information Network. 2 June 2009. <http://www.vin.com/Members/Associate/Associate.plx?DiseaseId=782> (subscription required)
 



まなび野動物病院


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