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ホーム > イヌで特に注意する病気・事故


嘔吐

イヌでは月に1回程度の嘔吐は経験的に特に問題ないことが多いです。ただし、それ以上の頻度で嘔吐をする場合は何か問題があることがあり得ます。
イヌが草を食べてそれを吐き出すことは正常なことです。ただ、詳しくは中毒のページを参照していただいて、特に、散歩のときに除草剤などがかかっている草、あるいは毒のある草を食べる可能性があるため、注意が必要です。
特に何回も嘔吐する場合は重大な命にかかわる病気にかかっていることもあるため、早めに動物病院に連れて行かれることをお勧めいたします。

イヌが咳をするとき、特に小型犬では第一に心臓、次に気管に問題があることが多いです。心臓の病気の場合、悪化すると直ぐに命にかかわることがあるため、できるだけ早く動物病院に連れて行かれることをお勧めいたします。

首輪

首輪がきついとかわいそうだからということで、首輪をゆるくしている方がいらっしゃいますが、実際に首輪がゆるいために、散歩中驚いて首輪が抜けて事故にあった例があります。即ち、首輪がゆるいことにより脱走、あるいは散歩中に何かに驚いて逃げ、事故に遇うことがあるわけですから、首輪は命綱ともいえます。首輪は前に引っ張り抜けないことを確認しておく必要があります。
ただし、子犬は成長して、思っているより早く首輪がきつくなることがありますから注意が必要です。また、飼っている環境によっては、リードが絡まって、首輪によって首が絞まることがないように、また、首輪をした状態で、どこかに滑って落ちたりするとこれも命にかかわることになるため、飼っている環境を十分注意する必要があります。
散歩中にぐいぐい引っ張っていく場合は、首輪によって気管を痛めることがあるため、通常のハーネスや、イヌの力が強い場合は特殊なハーネスでイヌをコントロールしやすいものに換えるなど工夫すると良いでしょう。また、犬種によっては気管の病気が出やすいこともありますので、首輪よりハーネスにした方が良い場合もあります。

本能的な攻撃

イヌの性格にもよりますが、一般的にイヌは自分より小さい動物を本能的に攻撃することがあります。特に小型犬を飼っている飼主さんは散歩のときなど念のため気をつけることが大切です。

去勢手術で予防できるイヌの病気

前立腺肥大・感染性前立腺炎
去勢していないオスのイヌの場合、中高齢になると膀胱の近くにある前立腺という組織がだんだん大きくなってきます。また、前立腺の上には直腸があり、前立腺の中には尿道が通っていますから、肥大が著しくなると、排尿や排便にまで影響するようになります。こうなると早急に治療が必要となります。また、前立腺が感染すると、前立腺は抗生物質が届きにくい組織のため、長い期間抗生剤を投与する必要があります。これらの病気は去勢をしていれば防ぐことができます。去勢すると前立腺が萎縮して小さくなってしまうからです。

会陰ヘルニア
高齢の去勢していないオスのイヌで多い病気です。尾の付け根から肛門の外側にかけての筋肉が、精巣ホルモンあるいは前立腺の影響で弱くなることが原因と考えられています。直腸さらには尿道までもが弱くなった筋肉の間から飛び出し、尾の付け根から肛門の外側にかけての皮膚がぽっこり膨らんでしまいます。直腸が影響を受けると排便が困難に、尿道までもが影響を受けると排尿が困難となりますので、一刻も早く手術することが必要です。去勢手術をしていればなりにくい病気といえます。

肛門周囲腺腫
肛門の周りにできる腫瘍の内で、精巣ホルモンの影響で発生するものがあります。従って、この病気も去勢をしていれば予防できることになります。


避妊手術で予防できるイヌの病気

子宮蓄膿症
避妊手術をすると卵巣と子宮を摘出するわけですから妊娠できなくなります。したがって、避妊手術を受けたイヌでは卵巣と子宮の病気から無縁になります。時おり遭遇する子宮の病気としては、子宮蓄膿症があります。これは子宮に膿が溜まる病気で、治療をしなければ命にかかわります。子どもを生ませたいと考えている飼い主さんは避妊手術ができないわけですが、そうでない飼い主さんは早く、若いうちに避妊手術を受けさせることをお勧めいたします。もちろん、避妊手術をしていないイヌが必ず子宮蓄膿症になるわけではないのですが、一般的には避妊手術をしたイヌの方がしていないイヌよりも長生きだといわれています。

乳腺癌
1回目か、少なくとも2回目の生理がくる前に避妊手術をすることで、乳腺癌になる確率が下がることがわかっています。避妊手術を考えている飼い主さんは、できるならば早めにしてあげる方が病気の予防にもなるため良いと思います。

白内障

高齢になってくると多くのイヌで目の中の水晶体(レンズ)が白く濁り、白内障が発症します。白内障の進行には固体差があるようです。進行すると最終的には失明することになります。イヌの場合、失明しても環境に適応できるようですが、手術以外に視力が回復することはありません。
まれではありますが、白内障が原因で眼の中に炎症が起き、緑内障となって治療しなければ失明してしまうこともあります。早期発見で、白内障の進行を遅らせる点眼薬があります。

ダニによる病気

バベシア症というダニが媒介となる病気があります。これは命に関わる恐い病気ですので、ダニが予防できることが理想的です。動物病院には効果的で動物に安全なダニの予防・駆除薬があります(同時にノミも予防可能)。
ダニは通常、木の葉の上で群れになり、動物が近くを通るのを待っています。動物が近くに来ると葉からいっせいに動物の上に落ちて感染します。ダニの唾液には麻酔の作用があり、動物に気付かれず頭をすっぽり皮膚の中まで入れて血を吸うことができます。ダニの頭は皮膚にすっぽり入っていますから、無理に取ると頭が皮膚の中に残ってしまいます。そうならないためには正しい方法でダニを摘出しなければなりません。ダニがついている時間が長いほど、バベシアという微生物をうつされる確立が高くなりますから、早く完全に皮膚からダニを取ってあげる方が病気の予防という点では良いことになります。

歯の健康

若いイヌでは歯石が問題になることはほとんどないですが、中高齢になってくると歯石の影響で歯肉炎、歯周炎となり、口臭がでてきます。歯周炎が起きると細菌が血流にのって心臓、その他の臓器に達し、心臓では細菌性の心内膜炎を起こす可能性も指摘されています。歯石のつき方には個体差がありますが、歯石がつきやすいイヌは、経験的には缶詰を与えられていたり、家族が食事のときに一緒に横にいる場合が多いようです。イヌが人のおかずを食べると歯石がつきやすいと思われます。特に歯石が著しく、歯肉炎や歯周炎がひどく、口臭が強くなり、生活の質に影響がでてくると、イヌの場合全身麻酔で歯科処置をすることになります。どんなに安全な麻酔を使っても、リスクはゼロではないわけですから、できるならば麻酔を伴う歯科処置を生きている間何度も実施することは避けたいため、予防することが重要となってきます。
歯と歯茎の病気の予防には、人と同じようにイヌにも歯磨きをすることが効果的です。毎日1回の歯磨きで、効果的に歯肉炎が予防できることがわかっています。また、毎日実施する歯磨きほどの効果はありませんが、歯石がつきにくい専用のフードを食後に食べさせることで、ある程度の予防は期待できます。
イヌ用の歯ブラシも販売されてはいますが、小児用のヘッドの小さく、ややソフトな歯ブラシでもイヌに歯磨きをすることができます。もちろんイヌの口をゆすぐことができないので、人用の歯磨き粉はつけません。イヌ用の歯磨き用ペーストを使うとゆすぐ必要もなく、また、イヌの好みの味がするため実施しやすいと思われます。イヌ用の歯磨き用ペーストがない場合、はじめはイヌに慣れてもらうため、肉汁などを歯ブラシにつけてもよいでしょう。
歯磨きの方法は人と同じように歯茎と歯の境界に歯石がつきやすいため、ここを中心に45度の角度で,できれば水よりはぬるま湯で濡らした歯ブラシを当て、特にはじめのうちはやさしく、そして小刻みに横に動かして歯を磨きます。ただし、歯石は歯の内側(舌側)より外側(頬側)により多くつきますし、内側(舌側)は嫌がるため実質的に歯磨きをすることはできないので、歯磨きは外側(頬側)のみを実施します。イヌの性格によっては実施できないことになりますが、歯ブラシを嫌がる場合、初めは指にガーゼを巻いて濡らしたもので歯を磨くことならできることもあります。子イヌの時から歯ブラシに慣らしておくのが理想的ですが、成長したイヌでも工夫して根気よく習慣になるように実施します。左右、上下の外側(頬側)を磨くわけですが、どちらかというと、特に上の歯の方はしっかり磨くことが大切です。なぜならば、上(上顎)の歯根の近くには、鼻と口との境界となっている骨があり、また、奥歯は目にも近いため、特に上の歯に問題があると、鼻、あるいは目の症状が一緒に出てくることがあるからです。

参考文献

Gorrel C. Veterinary Dentistry for the General Practitioner. St. Louis: Elsevier-Saunders, 2004.

Henry CJ. “Mammary Cancer” KIRK’S CURRENT VETERINARY THERAPY XIV. 14th ed. Eds. Bonagura JD and Twedt DC. St. Louis: Elsevier-Saunders, 2009.


Sherding RG. “Constipation and Anorectal Diseases” SAUNDERS MANUAL of SMALL ANIMAL PRACTICE. 3rd ed. Eds. Birchard SJ and Sherding RG. St. Louis: Elsevier-Saunders, 2006.



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